目次
美容室でマーケティングが必要になる背景とは
サロン系の店舗(昔から地域に根付き固定客だけでお店が成り立っている理髪店ではない)で利益を出し続けるためには「安定的に新規顧客を獲得するための集客」が必要になります。ひと昔前であれば「店頭看板による飛び込み」や「新聞広告や折り込みチラシ」などが主流でしたが、現在ではインターネットやスマートフォンが普及したことによって、美容系ポータルサイトを活用し、サービス内容や価格、お店の評価などを調べてから予約をする人が多くなっており、ポータル(口コミ)サイトからの集客は欠かせない要素になっています。しかし、ホットペッパービューティーや楽天ビューティー、エキテンなどから集客するためには多くの広告費がかかり、資本力のあるライバル店には太刀打ちできません。特に、売上の約50%とも言われる人件費がかかるサロン系店舗では、仮に多くの新規顧客を集客することができたとしても、それに対応するためのエスティシャン、スタイリスト、専門資格を持った技術者が必要となり、スタッフの技術や知識、経験をサービスとして提供するビジネスの場合、この人件費は簡単に削減することはできません。その他にも、癒しの空間を提供するエステサロンであれば店舗の内装費、美白や痩身などの美容エステでは高額な機器(メンテナンスやリース費用を含む)をはじめ、家賃、光熱費、材料費などの多くの固定費が掛かかるため、広告費を捻出することができず頭の悩ませている経営者も多いでしょう。しかし、「人件費やその他の経費を削ってなんとかポータルサイトへの広告費を捻出しなければならない・・」と悩む前に、サロン系店舗で利益を上げるためには、ライフタイムバリュー(LTV)という考え方について理解しておく必要があります。
美容室が飽和して過半数が赤字
美容室経営って簡単なものじゃない、実際に3年以内に90%以上にお店が廃業に追い込まれてしまう、これはこれからも数字が減ることはないと思う。だって赤字の原因をしっかり分析できない人が実際に独立しているケースが多いから。美容室経営者って経営に対する意識があまりに低い、そしてお金についての知識も乏しい。経営者にとって必要なのはお金の回る仕組みをいかに上手に作れるかってことです。今回は美容室経営戦略について少し話をしたいと思っています、戦略とは勝ち戦(かちいくさ)をするための前提の事とする。じゃあ美容室経営にとってもっとも大事なものかと聞かれれば、それは経営の知識であると多くの経営者が答えるであろう。財務に対するスキルや経営知識を身につけることが、美容室経営で勝ち戦(かちいくさ)をするうえで大事なのである。
美容室のマーケティングをするときに、把握しておくべき数値管理
次に美容業界の経営数値を見ていきたいと思います。1セット面あたり生産性(月間)50万円・原価率(技術)10%、人件費率 40~45%、家賃比率 10%、広告宣伝費 3~5%、営業利益率 5%仕入れの商材のコストは10%前後しかかからないため、粗利率(売上総利益)が非常に出やすい一方で、人件費がコストの半分近くを占めており営業利益としては5%前後しか残っていないというのが大半の美容室です。社会保険に加入をすると人件費の15%近く発生してしまいますので社会保険に加入することで赤字に転じてしまうという美容室も非常に多いことが特徴です。このように利益が残りづらい理由としては、美容室がかなり労働集約型のビジネスモデルであるということが要因です。いい意味でも悪い意味でも「人が商品」の業界ですので、レバレッジが少なく売上が大きく伸ばすことが困難な業種です。私がお付き合いしているサロンでも前年対比130%アップぐらいで相当良いレベルです。よって、伸ばしていくためには「出店戦略」が大きな鍵を握ります。一般的に美容室の出店にかかってくる数字は下記のとおりです。居抜の場合・・・50~70万/坪、スケルトンの場合・・・70~90万/坪、初期投資の際に主にかかるコスト①内外装工事費(店舗デザイン、工事費用等)②美容器具(セット面、いす、シャンプー台等)③店舗保証金(敷金)④広告宣伝費⑤設備費(パソコン、洗濯機、乾燥機など)⑥人材採用費そして美容室の投資回収期間は7~10年といわれ、あらゆる業種と比較しても非常に長いです。最近では低価格サロンなどで「低リスク×高収益出店」を実現し、2~3年での投資回収も可能になってきております。
美容室のマーケティングで広告費を出す前に知っておくべき考え方
サロン系店舗では【客単価ー経費(人件費+家賃+広告費)=利益】という単発的な計算ではなく、1人の顧客が生涯にもたらしてくれる累計利益を表すライフタイムバリュー(LTV)という考え方を知っておく必要があります。(生涯と言っても20年~30年の間、1つの店舗に通い続けることを見込んで計算することはできないので、業種によって数ヶ月から3年といった予測可能な期間で計算します。)極端な例になりますが、仮に広告費を捻出して新規の顧客を獲得したとしても、その後1度もリピートすることなくお客様を逃がしてしまった場合には、客単価10,000円 × 利益率20% × リピート0回 = LTV2,000円となり、広告費を掛ければ掛けるほど利益を圧迫してしていきます。しかし、1人の顧客のリピート率を高めることができれば、客単価10,000円 × 利益率20% × リピート(2ヶ月に1回×2年=12回)=LTV24,000円となり全体の売上額が大きくなり、このリピートによって利益を伸ばすことができます。このように、リピート率の低い店舗では、1回のサービス提供で得られる利益以内に広告費を抑えなければなりませんが、リピート率の高い店舗では、1回のサービス提供で得られる利益以上の広告費を掛けることができます。つまり、利益を出し続けるサロンは「資本力があるから多くの広告費を掛けることができる」のではなく、実は「リピート率を高め1人の顧客の平均LTVを伸ばすことによって、新規顧客を獲得するための広告費(CPA)を多く掛けることができている」というわけですね。
美容室のマーケティングを通して、低コストで新規顧客を獲得するために
新規顧客を獲得するためには広告費は必要になりますが、売上から経費を差し引いた「残りの利益から広告費を捻出する」という考えではなく、リピート率(2ヶ月に1回×2年=12回)を高めて「平均LTVから顧客獲得コスト(CPA)を算出」します。
2,000円の利益から広告費を捻出しようとすると、CPAを2,000円以内に抑えなければ即赤字になってしまいますが、LTVから算出したCPAを10,000円とした場合には、10ヶ月後(2,000円×5回)には回収することができ、その後は”利益を上乗せ”していくことができます。つまり、リピート率を高めてLTVを伸ばすことができれば、一人当たりの顧客獲得コストを”上げる”ことができ、「新規顧客獲得のためにポータルサイトに依存する」のではなく、「新規顧客の獲得のためにポータルサイトを活用する」ことができるようになるわけですね。ポータルサイトへの広告費をライバル店よりも多く掛けることができれば、必然的に優良な新規顧客を獲得できる可能性は高くなります。繰り返しになりますが、「リピート率を高めてLTVを伸ばすことができれば、新規の顧客を獲得するためのコストを2,000円から10,000円に引き上げることができ、ライバル店よりも多くの広告費をポータルサイトへ投下できるようになる」ということですが、しかし、当然ですが「新規顧客獲得コスト(CPA)は低く抑える」ことに越したことはありません。また、1つの媒体に依存した集客では経営基盤を安定させることはできないので、無料で集客することができる自社ホームページを持つことは必須です。
ホームページを立ち上げる
「店頭看板による飛び込み(黙っていてもお客さんが入ってきてくれるような駅前の好立地の店舗は高額な家賃がかかる)」や「新聞広告や折り込みチラシ(費用対効果が測り難くい)」に代わり、現在では「美容系ポータルサイトへの広告費による集客」が主流になっています。しかし、ポータルサイトには掲載項目が限られており、多店舗との差別化することができません。また掲載店舗も無数にあるため自社の情報は埋もれてしまい、結局、ライバル店よりも多くの広告費を掛けなければ集客することが難しいのが現状です。そのため、サロン系店舗の”自社ホームページ”では、お店のコンセプトやサービス内容・価格はもちろんのこと、お客様がホームページを閲覧しながら「日常を忘れることができる極上の体験」や「新しい自分に生まれ変わる自分像」そんなイメージを膨らませられるように、店舗内の雰囲気や施術風景をなどを伝え、ライバル店との差別化を図ることが重要になります。女性客を魅了するような美しいホームページを完成させることができたとしても、「そこから集客することができるかどうか?」はまた別の話になり、自社ホームページから新規の顧客を獲得するためには、ホームページ全体にアクセスを呼び込む必要があります。
SNSで集客をする
SNS の影響力が大きいのは皆さんすでにご存じですよね。だからこそ SNS を活用して集客したいと思う美容室もとても多くなっています。ということで今回は、代表的な3つの SNS(Facebook、Twitter、Instagram)を美容室の集客にどう使えばいいのでしょうか?SNS は上手に活用することができると集客にとても効果的です。でも基本的に SNS だけで集客できるとは思わないでください。SNS はホームページやブログと上手に組み合わせて導線をつくっていくことで集客に繋げていくものです。
美容室がマーケティングで失敗しないためには
美容室の中で成功している業績が伸びているサロンの傾向は、ストック型のビジネスモデルができている。WEBを軸にした集客手法の確立できている。客数(カルテ枚数)重視している。自社独自の再来メニューを確立できている。1ヶ月以内の再来頻度を高めるための仕組みづくりがある。VIP顧客像を明確化している。マーケティング戦略とスタッフ育成と評価をセットで考えている。従業員満足度=ESを経営戦略に入れている。アシスタントの早期戦力化ができている。経営戦略に沿って採用数を獲得できている美容室というのは現在好調に推移していますし、今後も伸びやすいと推測しています。さらには今後の美容業界で必要なビジネスモデル下記にまとめてみました。マーケットのキーワードとして小商圏化、同質化、美容室のイメージ低下と言う問題が発生しています。そしてそれに伴いカルテ枚数の減少や来店頻度の低下などの減少に繋がっている美容室が多いです。今後必要なビジネスモデルとしては「売上=客数×客単価」の公式を「売上=カルテ枚数×来店頻度×客単価」に変化していく必要性があり、この公式を重視している美容室は非常に伸びています。大きな方向性でいうと、「どんな人でも受け入れる美容室」から「より一人のお客様を大切にする美容室」へとシフトしていく必要性があります。
関連記事
美容室のマーケティングのまとめ
LIPPSの ポジショニング や メディア戦略 について見ていきましたが、人気の秘訣は実際に店舗に行って見てわかることがあります。それはおしゃれな駅前の一等地にあることはもちろん、カットやスタイリングの技術が優れていることに加えて接客のサービスが丁寧で素晴らしいところにあると思います。美容院での一番の目的は技術力を求めておしゃれで カッコイイ 、 可愛い ヘアスタイル になることです。ですが、 サービス業 としての本質である 接客サービス が優れており、また気持ちよく来たいという部分が 新規顧客獲得 の マーケティング戦略 に加えて、リピーター顧客の獲得に大いに影響しているはずです。金額的に言うと メンズカット で6,000円〜とそこまで安くはないのですが、先端の流行を取り入れた カット技術 に加えてサービスも良いのであれば 費用対効果 が十分見込めると言えるでしょう。