歯科医師の年収ってどれくらい?歯医者の需要と他業種比較から読み解こう

「歯科医師の年収ってどれくらいなのだろう」などと疑問に思う方も多くいるのではないでしょうか。単刀直入に言えば、歯科医師の年収は人によって大きく違うというのが結論です。働く地域や年齢などによって大きく年収が変化するからです。
では、最低年収、最高年収、平均的な年収はどれくらいに分布するのでしょうか。今回は、歯科医師の年収について詳しくご紹介していきます。また、需要や他業種比較から歯科医師のコストパフォーマンスも考えていきましょう。

歯科医師って年収が高いというけど・・・

歯科医師の年収を考える前に、歯科医師とはそもそもどんな職業なのかを見ていきましょう。歯科医師とは、国家資格である歯科医師免許を所持し、患者の歯の治療・保健指導・健康管理などを行う者のことを指します。基本的に、歯科医師は医学部(6年制)を卒業した者がなることができます。なお、必須である歯科医師免許の合格率は年々下がっており、2018年度の合格率は64.5%でした。

歯科医師の平均年収は700〜900万円ほど

まずは歯科医師の平均年収を見ていきましょう。厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、平成28年度における歯科医師の平均年収は700〜800万円ほどとなっています。前述したように、歯科医師の年収は地域や年齢、経験によって大きく変動します。また、サンプル数が少ないため、一概には言えませんからおそらく700〜900万円の間に推移するのではないかと考えられます。
歯科医師の平均年収は全業種のうち7位です。ボーナス等を考慮せずに年収を月給に換算すると約60万円ですから、年収の高さが伺えます。しかし一方で、歯科医師の5人に1人は年収300万円以下というデータもありますから、平均年収からの振り幅が非常に大きい業種であることがわかります。

歯科医師の年収モデル:年齢別

次に、歯科医師の年収別の年収モデルをみてみましょう。厚生労働省の賃金構造基本統計調査によれば、歯科医師の年齢別年収は以下のように推移しています。
まずは企業規模10人以上の男性歯科医師の年齢別年収です。

25歳〜29歳
4,958,600円
30歳〜34歳
7,899,200円
35歳〜39歳
8,825,900円
40歳〜44歳
8,073,600円
45歳〜49歳
10,563,000円
50歳〜54歳
10,585,500円
55歳〜59歳
9,987,400円

次に、企業規模10人以上の女性歯科医師の年齢別年収です。

25歳〜29歳
3,931,300円
30歳〜34歳
7,708,500円
35歳〜39歳
6,407,800円
40歳〜44歳
10,568,800円
45歳〜49歳
9,766,500円
50歳〜54歳
4,684,800円
55歳〜59歳
7,985,200円

上記でわかるように、歯科医師の年収は男性の場合には年功序列であることがわかります。対して女性の場合には年齢別で見ると不均一な数字になっています。これは母体数が少ないことが原因だとされています。

歯科医師の年収モデル:形態別

最後は形態別での年収をみてみましょう。

歯科医師(開業医)の年収は1,000万を超える場合も

歯科医師(開業医)の年収は人によって様々であるため一概には言えませんが、経営がうまく軌道に乗れば1,000万円を超えることも可能と言われています。しかし、歯科医師の競争は激化しているため、軌道に乗せることは容易ではありません。現在、歯科医師の人口はおよそ10万人とされていますが、2030年には13万5,000人にまで増加すると言われています。およそ1.3倍の増加ですから、今以上に競争は激化すると予想されています。
さらに日本の人口は2050年までに5000万人にまで減少するとも言われており、歯科医師の需要は今後低くなるでしょう。よって、現時点での開業医の年収は1000万を超えることが可能だが、今後は減少傾向にあると言えるでしょう。

歯科医師(勤務医)の年収は700万程度

歯科医師(開業医)の年収に対して、歯科医師(勤務医)の平均年収は2013年時点で621万円とされています。勤務医全体の平均年収が1072万円であることから、歯科医師(勤務医)は他の勤務医に比べて年収が低い傾向にあるといえます。
年収が低い要因には、開業医同様に歯科医師の増加が挙げられます。厚生労働省の医師・歯科医師・薬剤師調査の概況によれば、2012年の歯科医師(勤務医)の数は1970年に比べ、およそ3倍にも増加しています。こうした歯科医師の過剰供給が歯科医師(勤務医)の年収を下げていると言えます。

歯科医師の年収は地域によって大きく異なる

最後に、地域別の歯科医師の年収をみてみましょう。

歯科医師の平均年収が最も高いのは静岡県

賃金構造基本統計調査によると、静岡県の歯科医師の平均年収は1,142万円であり、歯科医師の平均年収が最も高い都道府県です。調査人数が10人のみであることからデータへの信用性が若干落ちますが、おそらく高年収な都道府県だと言えるでしょう。
静岡県に次いで歯科医師の平均年収が高いのが、大分県の1088万円・三重県の1080万円・埼玉県の1049万円・北海道の1013万円などです。中でも大分県と埼玉県は調査人数が多く、信憑性が高い年収だと言えます。

歯科医師の平均年収が最も低いのは福井県

対して、歯科医師の平均年収が最も低い県は福井県です。福井県の平均年収は510万円です。静岡県や大分県、埼玉県の年収と比較すると年収の低さがわかります。
福井県に次いで歯科医師の平均年収が低いのが、福岡県の517万円・佐賀県の510万円・群馬県の511万円などです。福岡県の調査人数は420人と多く、こちらは信憑性が高いデータとなっています。
上記で見たように、歯科医師の平均年収は都道府県によって大きく変わってきます。調査人数が少ないとはいえ、静岡県と福井県の平均年収の差額は632万円です。平均年収に2倍以上の開きがあることがわかります。このように地域によって歯科医師の平均年収が大きく変化する要因には、医局と需給が関係していると考えられています。

歯科医師が年収を上げるにはマーケティングが重要

さて、ここまで歯科医師の年収について詳しくご紹介してきました。地域や雇用形態によって大きく平均年収が変動する歯科医師ですが、今後年収を維持・もしくは向上させるためにはマーケティングが重要になります。
前述しましたが、歯科医師は供給過多の傾向にあります。価格は需要と供給の均衡点で決定されるのが資本経済ですから、今後も供給過多が続けば経営難に陥る歯科医師は増加するでしょう。
顧客は近隣にある数ある歯医者の中から、掛かり付け医を決定します。顧客にいかに魅力的なアプローチを行うことができるかが、今後歯科医師として生き残ることができるかの重要な鍵となるでしょう。

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今回は歯科医師の年収についてご紹介してきました。いかがだったでしょうか。歯科医師の平均年収は全業種の中で7位の高さです。しかし一方で、スキルやマーケティングスキルに乏しければ、将来性は期待できないと言えます。
年々難易度を増している歯科医師の国家資格。せっかく受かっても経営難に陥ってしまっては本末転倒です。歯科医師が置かれている現状をしっかりと認識し、その課題に対応できてこそ年収アップに繋がることでしょう。