一人美容室として経営するためには

一人美容室が増えている理由とは!?

これから美容師で独立を考えている人は多いのではないでしょうか?しかし現実はそう甘くはありません。独立を果たした美容室の実に90%が、3年以内に廃業に追い込まれている現実をご存知ですか。
美容師独立の失敗は、美容師としての自分の技術に自信がある人ほど陥り易いので要注意です!美容師の独立には、技術以外のところに大変な盲点が存在するのをご存知ですか?それを知らずに、自身の技術があるから大丈夫と夢を見ながら独立して、悲惨な人生に追い込まれていくケースが後を絶ちません。

以下を読んでしっかり勉強してから、独立する事をお勧めいたします。

まず最初に言いたいことは、美容師としての技術力と、美容室経営者の能力は、全くもって別物だという事です。

美容室経営者の能力に必要な数字の勉強や、人材教育方法、資金ショートの負のスパイラルを起こさない為の多方面からの対策、税理士との顧問契約を結んで定期的に資金繰りや経営戦略のアドバイスを貰うなどの準備は既にお済みでしょうか?
もしまだなら、税理士と顧問契約を結んでアドバイスを貰い、現実に基づいた具体的な数字の経営戦略を立てる事が先になるでしょう。
もしそれをせずに独立開業してから始めるつもりでいると、先に内装などに多大なお金を投じてしまっていたり、広告費にお金をかけすぎたりして資金ショートを起こし、銀行からの融資もストップしてしまうなど、そこまで来たら文字通り再起不能になってしまうのです。
ここは一つ、冷静かつ具体的な、現実的経営戦略を立てて、準備を入念に時間をかけて行い、万全な状態で美容室の経営に乗り出しませんか?

注目すべきは、理美容室全体の規模は1989年をピークに減少傾向にあるのに、反対に美容室の軒数自体は増しているという事です。これは、大手チェーン経営の美容室が減っている代わりに、小規模または個人経営の美容室が増えているという事を意味しています。

一人美容室開業時にするべき4つのメリット

1. 開業する時の資金が少なくて済む

大型サロンの経営の際に必要な、特殊な作りのシャンプー台と回転する椅子の多数の設置、大掛かりな鏡張りの部屋、果ては大人数の顧客をさばく為の大人数のスタッフの人件費・・。当然ですがそれらをそろえる為には莫大な開業準備資金が必要です。それらを準備する事がむしろ一生をかけての目的となってしまい、人生が時間切れとなってしまう可能性すらあるんです。
でも、一人美容室ならそんな心配は要りません。シャンプー台が一つに作業スペースが二つあれば充分です。小さな部屋でも開業できます。

ホテル経営者の最大の悩みは人件費だという事をご存知ですか?それを解消する為に料理はバイキング形式にして、人件費を抑える事が最大の狙いなのです。人件費がかからないというのは、素晴らしいメリットになるでしょう。

2. 人間関係で揉める事がない

当然ですがマンツーマンサロンでは、一人のお客様を相手にシャンプーからブローまでを全部一人で担当する事になります。顧客が気に入ってくれさえくれれば、当然お客様との信頼関係は固くなります。美容師が1人とはいえ、顧客と相性がよく、美容師さんご自身に顧客が何かしらの理由を見つけて気に入ってくれれば、美容師さんに会うのを楽しみに、遠方からでもわざわざ来る価値があると判断してくれる可能性もあります。

勿論美容師さんご自身も自分のスタイルで無理なくお仕事や気配り、会話が出来ますし、やり方を押し付けられたり、合わない人間関係に疲労する事もなく、のびのびと仕事が出来るかもしれません。無駄に職場の同僚に気を使わなくていい分、お客様との関係に集中する事が出来、正しい方向で気に入って頂けたら、リピートして頂く可能性も増す事でしょう。
期待した人材が休みがちで思ったほど回転が見込めない、技術力が低い、人柄が合わないなどの問題が起きる事もありません。
人間関係を気にするどころか、お客様に正直にお話しする事で、普段の信頼関係があるからこそ、急な予定の変更などにも心よく対応してもらえ、働き方にゆとりができる事で、美容師さんご自身のトレンドを勉強する時間や、ご家庭に割く時間を増やすことも可能なのです。

3. 利益率の影響

美容室経営の成功の鍵は、何といっても利益率にこだわる事です。
簡単に説明すると、100万円の売り上げをあげても、利益率が1%なら1万円の利益にしかなりません。同じ売り上げをあげても、利益率が30%なら30万円が利益になります。
平たく言えば、1000万円の売り上げをあげる利益率の低い美容室になるよりは、300万円の売り上げをあげる利益率の高い美容院は同じという事になります。

売り上げから単純に仕入れ値を引いた分が粗利(売り上げ総利益)となり、そこから従業員の給料や経費を差し引いたのが、営業利益です。
売り上げ総利益率(粗利率)=売り上げ総利益÷売上高×100になりますが、それよりも大事なのは営業利益率で、それは営業利益÷売り上げ高×100になります。
(尚、当期純利益率=当期純利益÷売上高×100です。)

1人美容室では、面積を抑える事が出来るので、運転資金も少なくて済みます。
人を雇わな得れば人件費もかかりません。メリットが沢山あり、当然利益率をあげていく事が可能です。

4. お客様に二人きりの快適な空間を提供できる

お客様とマンツーマンで向き合う事が出来るのは、相性さえ良ければ大きなメリットとなる事でしょう。お客様から目に見える所に緑やお花を配置したり、お客様の言葉に真摯に耳を傾ける事で、まるで心療内科のような贅沢な空間を提供して差し上げる事ができます。お客様も頭皮のマッサージをして貰いながら、二人きりの贅沢な空間の中で、他の人に聞かれる心配もなく、心おきなく誰にも相談出来ない日ごろの悩みを自然と話すことができるでしょう。そうして信頼関係もしっかり、ゆったり築くことができるのが、マンツーマン美容室の強みとなるに違いありません。お客様にとって、最高に贅沢な癒しの時間を提供する事が出来るのです。美容師さんがお客さんのお気に入りだった場合、あなたに会って元気にしてもらう事を、お客様が心より楽しみにして下さるかもしれません。

一人美容室は、売り上げを1500万円と決める

一人美容室が年間1500万円の売り上げを達成するとどうなるのでしょうか?
材料費120万、クレジット15万、水光熱費36万、家賃180万、広告60万、新聞図書費12万、消耗品代、そして消費税を差し引くと、利益は年間1000万円を獲得できるでしょう。

一人美容室が人を雇う時の分岐点とは

年間1500万円の売り上げという事は、月に125万円。客単価8000円なら、156人の顧客が必要。25日営業で、一日6~7人。平日と人数に差があるかもしれませんので、土曜日は6~7人の顧客と考えると、もう一人スタッフが必要かもしれません。

スタッフの給与が月額20万円としたら・・
福利厚生費(社会保険)として、給与の約15%が必要で、三万円で計23万円になります。年間276万円です。
年間利益1000万円から276万円をさしひくと、729万円。
交通費と、たまにモチベーションアップでかかる食事代(会議費)なども考えておきましょう。

このあたりが、雇うか雇わないかの分岐点となることでしょう。

一人美容室を運営するコツと集客方法

損益を考えた上で、どんな美容室を経営したいのか、ターゲット層はどのあたりの年齢層で、どんなコンセプトの美容室にするのか、具体的にコンセプトを明確にしましょう!
美容師を続けたいなら、集客をし続ける必要があります。どんなに優秀な美容師の方にも、平等に失客のリスクがあるからです。顧客の引っ越し、就職、結婚は、避けようがないからです。

美容師さんご自身の人間性を売る、顧客の来店スパンを短くするなどの多方面からの工夫から、髪も綺麗になり、気分もリフレッシュできるなど+αのメリットを提供する努力が必要となるでしょう。流行の発信やヘアケアのご提案など、ここでなければというメリットをいかに沢山提供出来るかが肝心です。広告にはお金をかけずに口コミやポスティングを利用するのもいいかもしれません。

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一人美容室こそ、SNSで発信する

SNSで集客する仕掛けを作ってみるのは、一番効果が見込めるかもしれません!
毎日いらっしゃるお客様を口説いて、写真や動画をアップし、リアル・サロン・ワークシリーズなどはいかがでしょうか?綺麗なモデルさんの写真より、リアルなサロン・ワークで顧客に親近感を持って頂き、自分に置き換えて想像して貰う事で「ああ、早く美容室に行きたいな!」と感じて貰う事が大切です。お客さん達も自分が載るので、お洒落をして来店して下さったり、相乗効果で気持ちの良い顧客との関係作りに繋がった例もあります。

メルマガの配信からヘアケア製品を購入して貰う事につなげたり、ブログやフェイスブックなどによる口コミや情報提供も狙いましょう!!毎日のように発信すると、それを楽しみにして下さる方も増えていき、流行の発信など飽きられないサロン作りにつながる事でしょう。

来店スパンを短くする仕組み作りも大切でしょう。間が空いてしまうと、その間に別の美容室に浮気をされてしまうかもしれません。来店スパンを短くする為に次回を30日以内に予約をされていくと割引制度を適用して貰えたりすれば、顧客にもメリットがあります。勿論いつも綺麗でいられる事にもつながりますので、お互いの為に良い流れに繋がります。

一人美容室の運営と並行してセミナーに通う

美容師は、癒しの空間の提供以外に、出来れば流行の発信やライフスタイルの提案などを同時に出来る事が理想です。そして接客のマナーや技術の向上も同時にしていく必要があります。お客様から信頼される美容師であり続ける努力をする必要があるでしょう。
美容師さんご自身が常に向上する努力を怠らず、様々な事にアンテナを張り、常に魅力的な人柄であり続け、技術も接客も経営も、多方面で向上していく為に空き時間にセミナーに通って新しい事を勉強して取り入れる努力をすることは必要だと思います。

月の売り上げ80万円を週4日営業で顧客を見込めれば、最低でも年収500~600万円くらいを出すことができます。空いた日を確保して、自身の向上の為にセミナーに通う等にあてる事も考えてみましょう。勿論ご家族やリフレッシュの目的もあるかもしれませんが、その1日で講師の活動をして副収入につなげたり、やれる事は案外沢山あるかもしれません。

一人まとめ

一人美容室運営のコツは、 お客様に気に入って貰い、高いリピード率を生み出す仕掛けを沢山工夫すること。客単価をしっかりとあげること。来店スパンを短くする為に次回予約などを駆使して予約を上手にコントロールしていくこと
税理士と顧問契約を結んで定期的なアドバイスを貰い、数字で失敗の無い経営を目指す事などがあげられます。

くれぐれも内装や初期投資に夢中になって、経営の具体的な見通しもないまま店をオープンさせてから、失敗して2度目の銀行からの融資が得られない状態になり、再起不能に陥らないよう熟考を重ね、実行可能な具体的な成功のイメージを掴んでから1人美容室の開業に乗り出せるよう、慎重に時間をかけて用意周到に充分な準備をしてください。