歯科医院の開業資金はいくらかかる?

歯科医院の開業には、莫大な資金がかかります。その大体の費用と内訳を詳しく解説します。また、歯科医院の企業いおけるリスクも併せて説明しています。

歯科医院の開業に必要な資金:設備投資と運営資金

歯科医院の開業にかかる資金は、設備投資資金と運営資金に二つに分けることができます。

設備投資資金

まず設備投資資金とは、医院の設備にかかる費用です。医院の工事費や医療機器、設備代、賃貸契約時の費用などです。これは、一般的に4,000万円程度の費用が掛かるといわれています。参考までに、大体の内約を示しています。

医院の工事費: 1,000万~4,000万円
医療機器、設備代: 2,000万~3,000万円
その他: 500万円~

設備投資資金は土地の条件などにもよりますが、7500万円程の資金がかかることも珍しくありません。しかし、ここで気を付けてほしいのが、無理に経費を削減しないこと。設備代を削減しようと安価なものを購入してしまうと、施術の質が悪くなってしまい、お客様が減ってしまうことも考えられます。

大事なのは、しっかりと見積りと計画を立てること。交渉次第では、銀行から多額の融資を受け取ることも可能です。どのように経営したいのか、明確なイメージを立てて、そこから設備や店舗の計画、そして資金計画を建てるようにしましょう。

運営資金

運営資金とは、実際に運営していくのに必要な資金です。一般的に歯科医院では、開業から数か月は、顧客を安定して呼び込むのが難しく、なかなか十分な利益を上げることができません。

さらに、歯科医の収入は保険診療の窓口収入と自費診療の治療費、保険診療の収入
の3つあります。しかし、最後の保険診療の収入は最後の診療を行った月の2ヶ月後に国から支払われます。開業から2ヶ月間は、保険診療の窓口収入と自費診療の治療費しか収入源がなく、より厳しい状況となります。

また、開業直後は、新規の顧客の呼び込みのため、広告を打たなくてはならず、そのための費用も必要です。

この二か月間の運営資金を、あらかじめ用意しておく必要があります。相場は大体1000万円程度です。

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歯科医院の開業に必要な資金の調達について

約5000万円かかる歯科医院の開業はどのように資金調達を行っているのでしょうか?一般的には、ある程度資金を確保したうえで銀行からの理入れが多いようです。具体的には自己資金1,000万円、借入4,000万円程度。自己資金がないと、そもそも銀行がお金を貸してくれない場合が多いようです。

初期の資金確保は、開業に待ち受ける最初のハードルです。自分の医院を持つという夢をかなえるためにも、まずは1000万の貯蓄から頑張ってみてください。

歯科医院の開業の資金リスク

2019年現在、歯科医院を開業できても決して安泰とは言えません。事実、経営難での廃業は多く、年間約1,600件の歯科医院が廃業しています。なぜそれほどまでに多いのでしょうか。想定されるリスクを考えてみましょう。

そもそも歯科医院の数が多いこと

歯科医院の経営をする上で、必ず知ってほしいこと、それは競合となる歯科医院の数がとても多いことです。リスクもこの部分につきます。厚生労働所の平成26年の調査によると、全国の歯科医院の数は68,592件にも上っています。コンビニの数が55,090件(平成29年2月期決算資料をもとに推定)であることを考えると、いかに多いのかが分かります。

この中で、新規参入して経営するには綿密な戦略が必要です。立地条件や、技術、サービス、または広告など競合にはない価値を考える必要があります。

保険内診療だけになってしまう

病院の診察には、保険内診療と保険外診療の二種類があります。保険内診療とは、国の指定による治療方法が制限された、料金が全国的に一律な診療です。大体の金額が国で定められているため、大きな報酬を得るのが難しいのが特徴です。

一方で、保険外診療とはその歯科医院独自の最先端技術を用いる、または医師の熟練した技術による治療です。大きな報酬を得ることができます。

歯科医院を経営するにはこの保険外診療を多く行う必要があります。そのため、最先端の技術の導入、医師の技術向上を徹底しましょう。また、患者に高い金額を払って保険外診療を選択してもらう必要があります。そのために信頼を得なければなりません。実績だけではなく、治療のメリットを分かりやすく説明することも重要です。

資金繰り計画の甘さ

 さきほども述べたように歯科医院の運営には莫大なお金がかかります。設備の維持代、従業員の給料、光熱費などです。コストがどれくらいかかるのかを見誤ると、当然経営を存続できなくなり、廃業してしまいます。

また、診療して実際に報酬としてお金が入るまでには長い時間を要します。その間に、資金が不足してしまう可能性もあります。経理担当者を雇うなど、収入と支出の計画ときちんと管理するようにしましょう。

歯科医院の開業資金のまとめ

今回は、歯科医院の開業にかかる資金についてまとめました。歯科医院は開業がゴールではありません。多くの歯科医院が廃業している事実があり、資金をうまく活用して、経営を回していく必要があります。開業前に、しっかりと把握するようにしましょう。

参考記事
https://enechange.jp/articles/dental-clinic-open
http://www.shika-kaigyou.jp/category/1925544.html
https://www.insite.co.jp/shikakaigyotopics/finance/ownfund01