目次
美容室を経営する前に知っておきたいこと
今はどこかの美容室に雇われていても、「いずれ自分のお店を持ちたい!」と考えられている美容師さんは多いですよね。
きちんと準備をしてから独立しないと、後々大変なことになってしまいますので計画的に進めていきましょう。
ここでは将来に向けて、美容室を開業したいと考えている美容師さんのために独立して自分のサロンを出すにはどのように準備をしていけばいいのかを分かりやすく、簡潔にご説明していきます。
美容室業界の現状
日本全国にどれだけの美容室があるかご存知ですか?実は約2万3千もの店舗が日本にすでにあるのです。それもそのはず…今は街に出ればあちこちに美容室が溢れている状態ですよね。
コンビニも相当多いと思ってしまうのですが、全国でも約4万6千店しかないのです。美容室と比べるとコンビニが少なく感じてしまいますね。
コンビニよりも美容室の方が多いということが現状です。
資金調達をするには
実際のところ、開業するのにどのくらいの資金が必要かというのはざっくりともイメージしにくいところですよね。ほんの一例ですが、かかってくる費用にどのようなものがあるのかをご紹介していきます。
・店舗の敷金、礼金
・家賃
・仲介手数料
・火災保険
・内装工事費
・シャンプー台
・鏡
・セット椅子などの美容機器
・パソコン
・洗濯機
・材料費
・広告宣伝費
・人材費
・雑誌やインテリア
・当面の運転資金など
ざっくりですが、上記の資金が必要となってきます。
店舗の大きさによっても大きく異なってくるので、一概には言えませんが1000万〜2000万ほどはかかると思っておいた方が良さそうです。この全額がご自分の貯金であれば一番いいですが、ほとんどの家庭ではそこまでの貯金はできませんよね。そこで、開業に当たって融資を受ける人が多いのです。
融資を受ける先もいくつかの選択肢があります。
まず思いつく先は銀行だと思います。ですが、銀行は業績がないこれから開業する個人事業主にとって融資を受けるということはなかなか難しいと言えます。
あとは公的機関から融資を受けるという方法もあります。大きく分けて地方自治体が行う「制度融資」と、政府の管轄下にある「日本政策金融公庫」という2つの融資があります。
まず「制度融資」とは、地方自治体が信用保証協会と連携し、中小企業を支援する目的で独自の基準で行っている融資です。言い換えると、地方自治体によって融資の条件が全く異なるということです。また、どの地方自治体でも「中小企業者」、「信用保証協会の対象業種である事」というこの2つは共通して求めらる条件です。それ以外の具体的な条件は開業される地域の管轄の役所に相談し必要な手続きをする事をお勧めします。
「日本政策金融公庫」とは、国が株式の全てを保有している政府の管轄の金融機関です。中小企業の新規創業にも積極的に支援をしてくれるという事が特徴です。ですので、過去に実績がなくても比較的融資が受けやすいという事が言えます。その他にも「無担保、無保証制度」、「金利が低い」、「固定金利」、「借用期間が長い」などこれから独立する人にとって、とてもありがたい特徴があります。
すでに独立して、開業している美容師さんはこちらに融資を受けている人も多いと思います。
物件の選び方
美容室を開業するにあたって、物件選びはとても重要です。立地や、どんな雰囲気のお店にするのかなど考えるべき事はたくさんあります。
とくに立地は今まで働いていたお店の近くにして既存のお客様に来ていただく事を考えるのか、新しいエリアに出店して一からスタートするのかなども考える必要があります。
「居抜き」、「スケルトン」と大きく分けてこの2つが美容室の物件とされています。どちらにもメリット、デメリットがありますのでそれぞれの特徴を踏まえた上で物件を決めていきましょう。
まず「居抜き」物件からご説明していきます。
「居抜き」物件とは前の美容室の設備や備品がそのまま残っている状態の事をいいます。シャンプー台やセット面、鏡などが残っている事が多いです。大きな設備は揃っているので、簡単に手直しして早く開業する事ができます。
ただし、注意しなければいけない点が「造作譲渡」です。「造作譲渡」とは、内装や設備が比較的新しい場合に、以前のサロンのオーナーが「内装や設備を買い取ってほしい」とされる事をいいます。その場合、物件のオーナーとの間で行う賃貸借契約以外に造作譲渡契約などをする必要が出てきます。良い内装の物件にタイミングよく出会えれば、質の高い物件が安く使えるので経費を削る事ができます。
ただ、使えそうだと思っていた内装や設備が実は壊れてしまっていて、直すのに余計なお金がかかってしまうという事もありますので、契約する前に注意して確認をする事をお勧めします。
次に「スケルトン」物件についてご説明していきます。
「スケルトン」物件とは内装や設備、天井や床などを含め全く何も無い状態のことを指します。そのため、こだわってオリジナルの美容室を作り上げる事ができます。
こだわりが強い人にはとてもお勧めですが、内装費が高くなってしまったり、工事中のカラ家賃を支払わなければならないなどデメリットもあります。物件によって異なりますが、移転などの際に内装を全て解体して原状回復の必要があるところもあります。そこは契約前に必ず確認しておきましょう。
企業形態を選択する
開業する際、とても重要な企業形態は大きく分けて「個人事業主」、「法人」の2つがあります。この2つの違いをしっかりと理解して自分に合った方の企業形態を選ぶようにしましょう。ここではそれぞれの特徴をお伝えしていきます。
まず「個人事業主」とは、株式会社などの法人を設立せずに自分で事業を行うことです。(一般的に自営業と言われている)
「個人事業主」には社長の給料という概念が無く、売り上げから必要経費(家賃、光熱費、材料費、スタッフへの給料、広告宣伝費など)を引いたものが所得となります。税の特徴としては経費が計上しにくいという点もあります。
また個人事業主だと、「雇用保険」、「労働保険」への加入は義務付けられていますが、社員が何人いても「社会保険」(健康保険、厚生年金)への加入義務はありません。(美容、理容業の場合)
「法人」には「株式会社、合同会社、合資会社、合名会社」などと複数の種類があります。
個人事業主よりも経費で計上できる幅が広がります。例えば社長の給料も経費として計上できるので、利益が出ている個人事業主の方は節税対策にもなります。
ただし、「法人」になると、「社会保険」への加入が義務付けられますのでご注意ください。
美容室を経営するための集客について
ここまでは、開業までに必要な知識をお伝えしました。
次は集客や広告宣伝などサロンの経営についてご説明していきたいと思います。
集客方法
美容室にとって広告はとても重要なものです。媒体で分けると雑誌などの「紙媒体」、SNSなどを使った「WEB媒体」と2つに分けられます。この2つについて詳しくご説明していきます。
SNS
スマートフォンの普及に伴い、現代ではSNSでサロンのことを知ってもらえる機会が増えてきました。SNSは上手に活用することができるととても効果的です。SNSだけで集客をしようとは考えずに、うまくホームページへ誘導していくことが肝心です。
例えば「facebook」、「ツイッター」などでは、ブログをシェアしてHPへ誘導していくことが大切です。ブログに興味を持つと、自然とホーメページ内の他のところまで目を通すので、まずはブログを頑張りましょう。
「instagram」では、検索から見込み客を引き込み、プロフィールのところのリンクからHPへ誘導していくということがおすすめです。検索で引っかかるためには、ハッシュタグに検索されるキーワードを入れることが重要です。30個までタグをつけられるので、なるべくたくさんのタグをつけてください。「instagram」のリンクをたどる人は購買意欲が高い人なので、ここではブログでは無くHPへと導きます)
チラシ
チラシなどの紙媒体は種類が多く美容室で使えるものもたくさんあります。
・ダイレクトメール
・チラシ
・名刺
・ショップカード
・メンバーズカード
・スタンプカード
などがあります。ダイレクトメールは、既存のお客様の集客に適しています。少しでもいいので、一人一人にコメントを書くとより効果的です。
新天地で開業する場合、チラシを新聞折込などに入れて拡散するという方法もありますが、なかなか集客には繋がりにくいです。開業してからは空いている時間にビラ配りをするということが一般的です。
一度ご来店いただけたお客様の再来を促すため、ポイントカードや次回割引クーポンなどを用意するという方法もおすすめです。次回予約でお得になるなど、再来率をアップさせていくといいでしょう。
ホームページ
ホームページはとても大切で、WEB上のもう一つの美容室と言っても過言ではないくらいです。ホームページは情報の多さと、更新頻度がとても重要です。スマートフォンの普及により、スマートフォンからでも見やすいホームページを作ることが大切です。(スマートフォンから見られる率は60%〜80%)
現代は、ひと昔前のようなフラッシュでかっこいい雰囲気のホームページよりも、情報量が多く、シンプルで見やすいホームページがユーザーに好まれる傾向にあります。スタイル写真なども豊富に揃えておくといいでしょう。ブログも継続して発信し続けることをおすすめします。
関連記事
美容室を経営するためのまとめ
いかがでしたでしょうか?お伝えしたように、美容室を開業するにはとても多くのことを考えなければなりません。深く掘っていくと、ここでご説明したこと以外にも必要なことが出てくるかと思います。
資金集めもとても重要なので、開業を考えているのなら少しずつでも貯めておくことをおすすめします。計画的に一つずつ進めていきましょう。
これから開業される未来のオーナー様に今回の記事を少しでも参考にしていただけると幸いです。素敵なサロンを開業され、今後ますますのご活躍をされることを心よりお祈りしております。