美容師が儲からない理由とは

美容師が儲からない理由①給与体系

まずは、そもそも給与体系に問題はないのか見ていきます。美容師の給与体系は、固定給と歩合給に別れている事が多いと思います。お客さんから指名が増えれば増える程、歩合給が上がっていくため給料が上乗せされていく仕組みです。では給料が中々上がらないのは、下手でお客さんが少ないからなのでしょうか。あるデータだと歩合の比率は10%以下がかなり多いようです。10%というのは多いのでしょうか、少ないのでしょうか。例えば歩合給が10%、1度のカット料金が3000円としましょう。1人のお客さんをカットをすると、3,000円 ✖️ 10% = 300円となります。例えば 基本給:20万円歩合給:10%とした場合、日本の平均月収35万円に達するためには、歩合給で後15万円も稼がなくてはなりません。これはつまり、150万円分の施術が必要ということになり、3000円のカットで言えば500人に相当し、カラー等を入れて客単価が1万円になれば、やっと150人の施術で達成できる数字です。厳しいですね。ここまで出来るは一部の成功している美容師さんくらいです。この状況を改善するには、美容師の基本給をあげるか、歩合給をあげるしかありません。しかし、オーナーにはそれが出来ない理由があるんです。

美容師が儲からない理由②美容業界の状況

美容業界の現状を言うと、美容師とサロンの過剰供給の状態です。結局どうしようもないじゃん、と思わないよう先に言って起きますが、これが給与を上げられない理由ではありません。日本の人口は減少しており、ヘアサロンのメインターゲットである20〜30代の人口も、高齢化により減少傾向です。その中で美容師やヘアサロンの数が増えていている事から、業界では過当競争が起きています。例えばこんな地域があったとします。毎月サロンに行く人:100人客単価:1万円、美容師の数:2人、この地域では1ヶ月にサロンに支払われる金額は 1万円 ✖️ 100人 = 100万円、ですので、美容師が2人だとすると、1人約50万円の利益になるでしょう。

ところが現状は、サロンに行く人減り、美容師の数が増えています。例えば以下のようになると、毎月サロンに行く人:90人、客単価:1万円、美容師の数:3人、1ヶ月にサロンに支払われる金額は、1万円 ✖️ 90人 = 90万円、美容師が3人だと、1人約30万円の利益になります。つまり今のヘアサロン業界は、そもそも競争が激しく、少ないお客さんを取り合っているという状況ですので、給与が低くなりがちだと言うことです。その中で稼ぐためには、お客さんの中でも、毎回指名してくれるリピーターを作っていかなければならないことを理解してください。経営で悩んでいるサロンさんや、給与が上がらない美容師さんは、みんなリピーターを増やすのに四苦八苦していると思います。そのために何をしていますか?多くのサロンが間違った集客をしているのが現状です。

独立する平均年齢

美容師が独立開業をする平均年齢は「28歳~30歳」とされています。間を取って「29歳」と言われることもあります。早い人なら25歳程度で独立することもあります。独立のタイミングは年齢よりも「独立の準備がしっかりできたかどうか」が一番大事です。もうすぐ30歳だからなどの理由で焦る必要はありません。美容院に限らず、起業して5年以内に倒産する確率は85%と言われています。こうした統計は「取り方」によっても数値が変わるので議論も多くありますが、実際「たったの5年でも経営を続けるのは難しい」というのは事実です。東証に上場した数年後に倒産する企業もあるくらいです。美容院は「開業する」ことより「閉業しない」ことが大事なのです。独立を考えている人も年齢について焦るより、必要な準備を1つずつ完了させていくことを重視してください。独立してオーナー美容師として稼ぐには入念な準備や経費の計算などが必要です。このような準備は、1人で想像するよりも実際にやって成功している人の近くで学ぶのが一番でしょう。

美容室の差別化が難しい

自社の金額、メニューやサービスを作るときに「周りのサロン」と同じ、もしくは安く設定していませんか?たしかに、同じような商品で、他者より金額が高いと「売れない」ですよね。特にホットペッパー等で競合の美容室の料金対系が均一化されている現状があるので、料金以上に他店との違いが一目瞭然でないとお客様には伝わりません。また、近隣のお店がセット面の多い大型店舗の場合、人海戦術で経営を展開しているのでまともに戦っても【小さな美容室】は勝ち目がありません。みるみるうちに運転資金を食いつぶして【倒産】【廃業】に追い込まれてしまいます。手っ取り早く差別化を図るには、他店よりもハイクオリティな内外装にするのが最も有効ですが、コストの問題があるので、高額な料金をふっかけられないで、クオリティを実現でき、信用おける空間デザイン会社を探しましょう。

リピート客が増えない業界

それがクーポンです。ホットペッパービューティーを提供しているリクルートの報告によると、サロンの利用者が美容室に満足した理由の2位に、「費用がリーズナブルだから」という回答があります。つまり、美容室を利用している女性の多くはリーズナブルな料金を求めていることがわかります。そのためにリクルートは各店舗へ新規限定のクーポン等を掲載させ、クーポン目当ての客を店舗に集客することで、ホットペッパービューティーの集客の効果を示しています。ところがサロンからすれば悪い事ばかりです。初回限定クーポン目当てで来たお客さんは、2回目は予算オーバーでリピートしないでしょう。また、クーポンで割引した分、客単価も下がってしまいます。月額60万円の広告費を払いながら、リピートしない客を集め、割引価格で施術単価を下げているという状況をまずは理解しなければなりません。広告費がかさみ、リピートが増えず、自転車操業になり、スタッフに十分な給料を払えず、「業界全体」がこのような状況に陥る事で、美容師の年収を下げていると考えられます。

美容師が儲からない中で、どうしても成功するには

良くあるのが、大型美容室に長年勤めていて独立するパターン。大きな美容室では経営がうまく行っていても、それはアシスタントの頭数や、薬剤仕入れのボリュームメリットがあるからとも言えます。独立して1人経営で、きっちり売上をあげるには単価アップは避けられません。しかし、多少の立地やブランディングなどで一時的に単価は上がっても、サービス内容が今までと変わらないとお客様はすぐに離れてしまいます。独立開業の成功率をあげるには、自社が絶対的に必要とされるサービスを提供することでオンリーワンの存在になり、価格も自由に設定することができるポジショニングを取る必要があります。それを独立時にきちんと考えている経営者のサロンは必然的に成功率が高くなります。

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美容室の経費でかかるものとは?

安易な値下げは控える

美容室を開業するときに施術メニューの料金をまず初めに考えますよね。その時に周辺のサロンの価格を調査して、市場に適した料金を設定していませんか?もちろん、他サロンと同じ金額設定にしないとお客様から高いと思われてしまい「売れない」と考えるのが自然です。しかし、他サロンがキャンペーンで値段を下げてきたらどうでしょう?もちろん、価格で勝負してるので「合わせて下げる」しかないですよね。そうなるとお互いに消耗戦に突入します。いわゆる【レッドオーシャン】という状況で争うことになります。

ヘアケア用品を購入してもらう

美容室には、サロン専用のシャンプーやトリートメントといった、ヘアケア用品の販売も多く行われています。普通のドラッグストアでは売っていない場合もあるので、少々お高いのですが、気にいるとつい買ってしまいます。実は美容室で一番かかっていない経費というのは、材料費です。これは、カラー染料やパーマ液、トリートメントであり、これをたくさん売ることで儲かる美容室が作れます。その代り、人件費や光熱費などがたくさんかかってしまいます、美容師という人がいないと成り立たない職業なので、人件費は削ることができません。お客様が1日10人来ているとしても、美容師が2人で対応していたら儲かります。ですが、1日20人来ているとしても、美容師が10人で対応していたら儲かりません。一人経営や完全予約制でまわしている美容院やサロンが多い理由もそこにあります。