歯科医院経営が上手くいくための考え方

歯科医院経営の誤解

最初の誤解は、「歯科医院の経営は、儲け主義」という考えです。大事なのは、「クライアント(お客様)の満足を第一」とした経営です。儲けを考えると「通院してくれるお客様を増やす」という事が1番だと思いがちです。確かに、「通院してくれるお客様を増やす」という事は重要です。しかし、これが一番になってしまうと、経営は上手くいきません。一番重要なのは、「きてくれたお客様が満足する」ということです。きてくれたお客様が満足すれば、必ずお客様が増えます。自分が歯科医院に行ったと想像してみてください。A歯科医院は、【とにかく診察・治療を早く終わらせようと、歯をみて虫歯だからすぐに治療に入る】。B歯科医院は【歯を見て、どんな状態か説明し、どんな治療が必要か教えてくれてから治療に入る】。皆さんだったらどちらの歯科医院に行きたいですか。多分、ほとんどの人がB歯科医院に行きたいと思うはずです。ということは、つまりリピーターになってくれます。お客様を増やす事を第一にしてしまうと、どうしてもお客様の回転率を上げないといけないので、1人1人の診察時間・治療時間を短くすることが大事です。そういう歯科医院がA歯科医院に当てはまります。B歯科医院は1人1人にきちんと現状を説明し、どんな治療が必要か教えることにより満足度が上がります。そうすると、自分の友達や、知り合いに紹介してくれて結果的にお客様が増える事になります。

次の誤解は、「技術を磨くほど歯科経営はよくなる」という考えです。大事なのは、「スタッフがいきいきと活躍する経営」です。全く技術が必要ないかというと嘘になりますが、正直、お医者さんの腕というのは、お客様はわかりません。9の技術のお医者さんと10の技術のお医者さんの違いを分かるのは難しいですよね。それより、歯科医院にいるスタッフが元気なのか、疲れてるのかという方が分かります。もちろん前者の方が行きたい歯科医院ですよね。つまり、一定のお医者さんとしての腕を必要ですが、それ以上にスタッフがいきいきとしているかという方が大事です。

歯科医院の経営の重要な事

【永続的に繁栄していく事】

ただ、「患者を増やし、収入を上げる事」を一時的に結果として出すことはそれほど難しくはないです。しかし、この経営の先には、歯科医院としての体質を確実に落としていきます。「永続的に繁栄していく」ために必要なことは、ノウハウでも裏技もありません。「お客様の満足度を上げる事」これが、永続的に繁栄していく為に必要な事です。これが出来れば、経営は上手くいく可能性が高いです。理由は上記の通りです。

【院長の器を大きくすること】

仮に歯科医院の経営が上手くいき、お金がたくさんあっても「幸せ」という事でもありません。確かにお金があればと思っている人もたくさんいると思います。しかし、バランスが大事です。お金、仕事、健康、家族、友人、趣味、時間など全てがバランス良く大きくなっていくことが大事です。どれか一つだけ大きくなっても、それは幸せとはいえません。例をいうなら、どんなにお金をもっても健康でないのなら、幸せじゃないですよね。また、仕事を大きくしても家族と仲が悪くなってしまったら一緒で幸せじゃないですね。

歯科医院の経営を頑張って、歯科医院を大きくしても幸せじゃないなら意味ないですよね。つまり、バランスよく器を大きくしていくことが、自分にとって幸せに歯科医院を経営するために重要になります。

歯科医院の経営は結果ではなく作り上げるもの

歯科医院は、院長先生の個人事業主でありながら、スタッフと協力して作り上げるチーム医療です。個人事業主のほとんどは自分で頑張るものですが、歯科医院の場合は先ほどいった通り、チームで行うので普通の事業主とは違う難しさがあるといえます。どんな難しさがあるというと、複雑な立場になってしまう事でしょう。院長先生は、スタッフに対しては社長(雇用主)であり、お客様の診療を行うチームの一員であり、どういった治療を行うか診療方針を決めるドクターであり、歯科医院の経営を考える経営者であると様々な立場があり、どうしても複雑になってしまいます。自分が今どの立場で、スタッフになにをいうべきかというのをしっかり考えないといけません。

歯科医院の経営として、スタッフに経営者感覚を求めてはダメ

スタッフと自分(歯科医院経営者)は、全く別の考えをもっている事を理解しましょう。まず、スタッフと自分では【リスクを背負う・背負わない)という大きな違いがあります。まず、最初にスタッフが経営者的視点を持つことは、正直難しいです。よく、経営者が「スタッフが、もっと経営者感覚を持っていれば・・・」と口にしているところを聞く場面があると思います。今のスタッフをなんとかしたいと思い、スタッフに経営者感覚を持たせるため、ビジネス本を読ませたり、講習会などに参加させたりします。感想を聞くと、「とてもタメになりました」と答えてくれるし、内容も確認するとしっかり答えてくれます。しかし、日頃の仕事は、何も変わらず指示待ちだし、経営状況が厳しくなっても、「なんとかなる・してくれるだろう」と他人事、「もっと給料を増やしてほしい」など医院に対して主張はしてくるけど、経営者から見て、「しっかり仕事を果たしていないのに、よくそんな事をいえるなぁ」と思う事が多々あります。つまり、どれだけ、スタッフが経営者感覚を持ってもらえるように色々と手を尽くしていても、結局スタッフは経営者感覚を持ってくれません。

落ち込む前に少し自分の事を振り返ってみましょう。自分が勤務医の時に、今と同じ様な経営者感覚を持っていたでしょうか。歯科医院の看板を背負い、生涯、お客様のお口の健康に責任を持とうと思っていたでしょうか。歯科医院で1日の営業でいくらの人件費がかかり、いくらの光熱費がかかるのか、それを基に何人のお客様に1日来てくだされば、利益を出せるのかなど考えていたでしょうか。ほとんどの方の答えは【NO】だと思います。今、歯科医院を経営しようと思っているあなたでさえも昔はそうだったのです。つまり、スタッフが経営者感覚を持つことは、どれだけ勉強させても、本当の意味での経営者感覚を持たせることはできません。では、スタッフをどう育てればいいのでしょうか。

答えは、「サポーター感覚」をスタッフに持ってもらえるように育てることです。サポーターとは、応援する存在と思いがちですが、それだけではなく、チームを支えてくれる存在です。経営者として、自分の歯科医院への夢やビジョン、言い方を変えれば、理念やミッションを明確にし、スタッフにアピールすることです。これがとても重要です。例を用いて説明しますね。高校野球チームが、A高校とB高校の2つあるとします。A高校は、レベルの高い選手が複数いますが、チームの目標が明確ではなく、ある選手は「甲子園優勝」、他の選手は「地区予選1回勝てれば」と思っています。BチームはAチームほどレベルの高い選手はいませんが、選手全員が「甲子園出場」を目標と明確にしています。どちらの方が有意義な練習をし、結果を出すと思いますか。明らかにBチームとですよね。個々の戦い、争いなら、個人が頑張ればいいだけです。しかし、歯科医院の経営は個人での勝負ではなく、チームでの勝負になります。全員が経営者感覚を持つよりも、全員が歯科医院の理念やビジョンを理解、意識、行動するほうが必ずいいチームになりますよね。つまり、全員が経営者感覚をもつのではなく、理念、ミッションを遂行するために経営は感覚をもつ1人をリーダーをスタッフがサポートしていくことが、歯科医院経営の重要な要素です。

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歯科医院の経営のまとめ

今回は歯科医院経営が上手くいくための考え方というテーマで書かせていただきました。歯科医院の経営には様々な誤解があり、誤解がある状態で進めていくと自分自身はもちろん、様々な大事な人につらい思いをする・させてしまいます。しっかり、歯科医院を経営し、幸せと思えるようなヒントになれば幸いです。最後まで読んでいただき、有難うございました。