美容室が経営難に陥る理由とは

美容室が経営難の理由として、増えつづける美容室

日本では年間約10000店舗の美容室が開業し、年間約8000店舗廃業します。閉店数よりも開店数が約2000店舗ほど上回るので、その数は年々増加し続け、なんと現在日本全国に約24万店舗の美容室が存在しています。アメリカなどに比べても日本の美容室の数はけた違いの多さなのです。
美容室が増えていくということは、需要は増えているのではないか?と思いがちですが、美容業界の市場(お客さんが美容室にお金を使う金額)は毎年減少しています。原因は進行する少子高齢化により、若者の数が減ってしまいお客様が少なくなったことが挙げられます。
現在、美容業界は施術(メニュー)の低価格化と高級サロンの二極化が進み、儲かる美容室は儲かっていますが、なかなか儲からなくて経営難になってしまう美容室も増えてきているのです。大手サロンなどでは、高齢化に対応するため、お年寄りのお客様の自宅に美容師を派遣してカットをするなどのサービスを展開しており、美容業界はさまざまなニーズに対応する必要性を迫られています。
また、美容業界の市場が少なくなっているのに対し、美容室はますます増加していくため、美容室と美容室のお客様の取り合いになってしまい、競争は熾烈を極め、経営難に陥る美容室も増えています。

なぜ美容室は増えるのか?

そもそもなぜ美容室は増えるのでしょうか?
それは、雇われ美容師の過酷な雇用形態が関係しています。
美容専門学校を卒業した美容師は、20歳前後でどこかの美容室に就職します。最初はアシスタントとして雇われるのですが、美容業界自体が体育会系の気質があり、毎日朝から晩まで厳しくしごかれるので、1年で約50%、3年経つと約80%、10年目ではなんと約92パーセントが辞めていくといわれています。ここで何とか頑張って生き残ったとしても、給料は20万円以下と同世代と比べてもかなり低く、途中で挫折してしまう人も多いのです。社会保険に加入していない美容室も多いので福利厚生もないに等しく、こうした環境下で仕事をし続けているとどうしても「もっとお金を稼ぎたい」、「お金を稼ぐには”独立”しかない」といった気持ちが生まれてきます。そうしてどんどん独立志望者が増え、実際に独立していくのです。

美容室が経営難に陥るのには理由がある

美容室経営は簡単なものではありません。実際に、90%以上のお店が3年以内に経営難に陥ったり廃業に追い込まれたりしてしまうというデータがあります。経営に対する意識やお金についての知識、赤字の原因をしっかりと分析することができないと、美容室経営は上手くいかないのです。

経営難(赤字)になってしまう理由とは?

経営難に(赤字)になってしまう理由は当然様々なものがあります。ですが、最大の理由は【圧倒的経営力不足】です。もちろん美容室経営の根本には技術があることはいうまでもなく、技術が上手い美容室にお客様は集まります。ですが、技術を追求することはしても、経営を追求しない…というのは美容室運営をするにおいてかなり致命的です。素人にいきなりお店を任せて繁盛店に出来るはずがないのと同じく、データの分析もできず、集客のアイデアもなく、ホームページさえ作れず、お金の計算もできない。そんな人が美容室を経営しても上手くいくはずがありません。昔は「頭が良くないから、技術で勝負する」などという人もいたことでしょう。それで上手くいっていれば、今頃どこの美容室も繁盛店ばかりです。
財務に対するスキルや経営知識を身につけることが、美容室経営において最も重要なのです。

原因は売上だけではない?

美容室経営において、「従業員が集まらない」、「いい人材が集まらない」というのも原因のひとつだと考えられます。いい人材は大手サロンに囲い込まれてしまいます。中小美容室より少しでも待遇のよい大手の美容室があれば、安定感を求め、そこに人が流れてしまうのは当然だといえるでしょう。これは中小美容室の宿命です。
自分の美容室の従業員は自分で育てるという意識を持ち、ノウハウをしっかり身に着けることができるよう根気よく育てましょう。ですが、今の時代の若者は根性論ではなかなかついてこないので、従業員の目線まで下がっていって心をつかみながら徐々に能力を引き上げるしか方法はありません。マネジメントとしては非常に苦しいでしょうが我慢強く育てていきましょう。

美容室が経営難に陥る前に、そもそも経営の勉強はしているのか

経営難になってしまう理由として、経営者の”経営の知識”が足りないということを挙げましたが、あなたは経営のことに関する勉強はしていますか?
美容室経営者の常識は他の業界とはものすごくかけ離れており、経営者になるのに経営の勉強を一切しない人が多く、なんと経営についてきちんと勉強しないで独立してしまう人が90%以上も存在します。なかには経営に関して勉強している人もいるでしょうが、雑誌などで特集されている有名美容室や人気の美容室の経営の仕組みなどの情報を見ているだけなのです。
そもそも、雑誌などで特集される有名な美容室は、全国で約24万店の美容室が存在しているなかでも特殊な美容室で、同じことをしても同じようには再現できないのです。
再現性のない美容室のことをいくら勉強したからといっても、実際にうまくいかないのですから全く意味のないものになっているのです。
お店のコンセプトは出店地域にマッチしているのか?リピート率は現在何%を維持できているのか?など、感覚だけでなくきちんと数字で説明できなければなりません。赤字になって経営を勉強するのでは遅いのです。美容室開業の準備に経営について学ぶ時間もしっかり設けましょう。

美容室が経営難にならないためには

多店舗経営はよく考えて

美容室経営者には多店舗経営をしたがる人も多いですが、むやみに多店舗展開をするのはかなり危険です。もちろん美容室経営がうまくいけば支店を出して多額の利益を確保するのは正解ですが、通常のビジネスとは違い美容室は技術職で物販ではありません。美容室では、お客様はスタッフにつきますよね?もし、4人体制の少人数の美容室が支店を出した場合、そこに店長(オーナー)が移ってしまったら残ったお店はどうなるでしょうか?店舗自体にスタイリストが不在になり、指名客もいなくなるので、たちまち美容室経営難になって閉店せざるを得ないでしょう。
美容室の支店をオープンする前に、現状の店舗での業務を拡大する方法を考えましょう。例えば3店舗の美容室でスタッフ数総勢12名だったとした場合、1店舗で12名体制のほうがよっぽど利益がでます。この3店舗や5店舗展開の美容室経営難がかなり多いので、多店舗経営はよく考えてから行いましょう。

辞めさせない環境づくり

新しい優秀な美容スタッフを募集するには、時間やコストがかなりかかってしまったり、大手美容室に流れてしまうなどかなり厳しい現状があります。まずは今いる従業員を辞めさせない環境づくりを考えましょう。美容師という仕事は激務で給料も低く、離職率はかなり高いです。面接時に一緒に成長してくれるような「ヒト」の見極めが重要になります。焦って無理に即雇用をしようとせず、じっくりヒトを見る目も養いましょう。

関連記事

美容室を経営するには具体的に何が必要なのか。

【必見】これからの美容室経営に必要な「経営知識」とは

美容室が経営難に陥らないためのまとめ

美容師としての成功を夢見て数年数十年と修業を積み、長い年月をかけて集めた資金や人脈を無駄にしたくはないですよね。技術を手につければ、あとは経営としての知識を得るだけです。常に経営がうまくいけばいいですが、そんな美容室はありません。前もって学んでおくことは、将来これから自分が困った時に必ず力になりますし、助けてくれるでしょう。勉強が嫌い・数字が苦手…などと諦めずに努力することが大切ですよ!